ブログ|浜松市北区初生町で動物病院をお探しの方は佐野獣医科病院まで

053-437-7777
〒433-8112
静岡県浜松市北区初生町818-5
背景色の変更:
文字サイズの変更:
  • 電話
  • メニュー

  • お腹に潜む時限爆弾 ~胆のう疾患のお話~

    21.03.01(月)

    皆さまこんにちは。副院長の佐野です。

     

    まずはお知らせです。

    今月から、午前中の診察受付が11時40分までとなっております。

    昼は主に手術の時間なのですが、午前の診察が押した結果手術ができないということがたまに起こるようになってしまいまして、皆様にはご迷惑をおかけしますが、ご理解、ご協力をお願いいたします。

    フード等の購入や薬の受け取りなど、「診察室に入らない用事」でしたら12時まで対応いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

     

    あ、祝日は手術はやりませんので今まで通り12時まで受け付けますよ。10時からですけどね。

     

     

    ではお知らせも書いたところで、今日は「胆嚢(たんのう)」のお話です。

    皆さん胆のうってわかりますかね?日常生活ではほとんど意識しない臓器なので、まだ人間ドックとかも受けていない若い方なんかはピンとこないかもしれません。

    ヒトの模式図ですが、真ん中へんにある緑色の小さいやつ、ここが胆のうです。

    肝臓で作られる、「胆汁」という消化液の一種を貯めている袋状の臓器で、肝臓に埋もれるように位置しています。

    貯まっている胆汁は、総胆管という管を通して十二指腸に排出され、主に脂質を吸収する助けになります。

     

     

    このところ、なぜかこの胆のうの手術が何件か続いたので、今回は胆のうの病気について書きます。

    とはいえ胆のうの病気と言っても色々あるですが、なかでも手術が必要になるような病気というと、「胆石症」「胆のう炎」「胆のう粘液嚢腫」の3つが代表格かなと思います。

     

    まず胆石症ですが、胆のうの中に結石ができる病気です。

    人間はコレステロールが主成分のコレステロール結石が多いそうですが、わんちゃんでは胆汁中の色素成分「ビリルビン」が結晶化して石になる場合が多いようです。

    胆のうの中で石がコロコロあるだけだとあまり症状が出ないため、健康診断とかでたまたま見つかる場合が多いですね。その時点であわてて手術や治療をする必要はあまりないでしょう。

    ただ、胆のう管や総胆管に石が詰まると途端に具合が悪くなります。この場合は緊急手術になることも多いです。詰まった状態で放置すれば重度の黄疸や胆嚢破裂などを起こして死んでしまいます。

     

    続いて胆のう炎です。こちらは主に小腸にいる細菌が、総胆管を登ってきて胆のうに感染することで起こります。

    基本的には細菌感染による病気なので、抗生物質を用いた内科治療が一般的なのですが、感染が重度だと手術が必要になります。

    特に、感染した細菌が何らかのガスを発生させる「気腫性胆のう炎」という状態になると、胆嚢破裂のリスクがかなり高くなるため、一刻も早く手術をすることが推奨されます。

    エコー検査で胆のうの表面が白く光り、その奥が影になっています。こういう画像が取れると、石やガスを疑う必要があります。

     

     

    最後に、胆のう粘液嚢腫

    あまり想像できない病名だと思います。実はこの病気は人間ではほとんどないらしいのです。

    グーグルで検索してみても、動物病院とかペット関連ばかりで、人間のお話は全然出てきませんね。

    しかし、ワンちゃんでは結構な発生率でして、胆のう手術の6~7割くらいはコレじゃないでしょうか?(私の感覚的な話で、全然根拠とかないですが)

     

    どんな病気かというと、胆汁がネバネバのベトベトに固まってきてしまう病気です。その結果、総胆管が詰まって破裂したり、黄疸が出たりします。

    ただ、胆石症と同じく、いざ詰まるまではあまり症状が出ないのが特徴で、やはり緊急手術のようなことになりがちですね。タイトルにも書いた通り、まるで時限爆弾のような病気です。なんともなかった子が、突然胆のう破裂を起こして数日のうちに亡くなってしまう…なんてこともあり得ます。

     

    この病気、実は原因がわかっていないのです。胆汁に含まれる「ムチン」というネバネバ成分が過剰になってしまうのですが、なぜそうなるのか未だ未解明です。

    シェルティーやシュナウザー、チワワ、ポメラニアンなど、一部の犬種で発生が多いことから何らかの遺伝の関与が疑われていたり、高脂血症やホルモン疾患との関連が疑われていたりしますが、「コレ!」といった原因はわからないんですよね…。

    なので残念ながら予防もできません…。肝臓への負担軽減などの目的で低脂肪食への変更が推奨されますが、定期的な健康診断で発見して、手術のタイミングを見極めるために経過観察する、というのが一般的な対応でしょう。

     

     

    てなわけで、胆のう粘液嚢腫の手術の様子を少しご紹介します。

    苦手な方は写真が出なくなるとこまで飛ばしてくださいね!

     

     

    画面中央、器具でつまんでいる白っぽいやつが胆のうです。周囲に肝臓がくっついています。

     

    胆のうを切除する際、破裂して中身が飛び出ないよう先に吸い出してしまいます。が、ネバネバが重度だとこれが全然吸えないんですよね…。

     

    肝臓とくっついている所をはがしていきます。奥の方に太い動脈があるので慎重に…!

     

    胆嚢の根本を糸で縛って切除します。奥を攻めすぎると大事な血管を傷つけちゃうけど、あまり上過ぎると胆のうが残ってしまいます。

     

    取れた~!!切除した切り株と、肝臓の剥がした面からの出血を確認して、やれ一安心、です。

     

     

    ちょっと画質が荒くて見づらいですが、結構奥まった部位で、結構細かい作業だというのが伝わりますかね?

    犬猫の胆のう手術は、比較的リスクを伴う手術です。仮に健康な動物に手術をするとしても、数%は手術により亡くなってしまうかもしれません。

    それが、高齢で体調も万全でないとなると、長時間の麻酔に耐えられなかったり、細かい出血が止まらなかったり、術後の炎症が強く出たりといった、不測の事態が起こっても不思議はないです。

     

    そういうわけで、胆のう手術の一番難しいところは、実のところ手術の内容よりも、「手術するべきかどうかの見極め」ではないかと思います。

    こればっかりは、その子その子によって状態が全く違うし、ご家族の考え方にもよるので一概に言えません。

    獣医さんの間でも意見の分かれる所です。

    「病気が見つかった時点で、体調を崩す前に取ろう!」

    「症状もないうちからリスクを冒す必要ない、具合が悪くなってきたら手術しよう!」

    どちらも間違いではないでしょう。

    (ちなみに私は、基本的には後者のスタンスに近いかな?)

     

    病気にならないのが一番ですが、長生きすればこそ増えてくる病気です。

    胆のうの病気は、エコーの検査で簡単に見つかるものが多いです。定期的な健康診断をして、もしも見つかってしまった時は、病気についてよく知り、悔いのない選択をしたいですね。

    その選択の助けになるために私たちはいますので、気になることはなんでもご相談くださいね!

  • 猫の肺がんのお話 ~病気にセオリーなんてないのかもしれない~

    20.11.27(金)

    みなさんこんにちは。副院長の佐野です。

     

    冬も近づいてきましたが、新型コロナは収束する気配なく、第三波の到来なんて騒がれていますね。

    そんなご時世で私、非常に心苦しいことがありまして。

     

    どうしても咳が出ちゃうんです。いや、コロナじゃないんですけども。

    3~4年前からですかね、だいたい10月くらいから春先にかけて、どうにも止めようのない咳が出てしまうんです。

    ステロイドの吸入薬を処方されてだいぶ減りましたし、季節性のアレルギーで間違いないはずですが、はたから見たら気分は良くないでしょうね…。

     

    来院される皆様にはご不安かと思いますが、風邪やコロナ、インフルエンザなどの咳ではないのでご容赦いただければと思います。

    もちろん、発熱とか他の症状が出ればすぐ対応するつもりです。

    気をつけてはいますが、浜松でも増えてきましたしね。

     

     

    というわけで、ここからが今日の本題なのですが。

    咳といえば…風邪?肺炎?喘息??

    …ではなく、今日は少し珍しい病気の紹介です。

    「猫の肺がん」です。

     

    ヒトでは肺がんは決して珍しくないと思いますが、おそらくそれは喫煙の習慣によるところが大きいと思われます。犬や猫ではヒトに比べると肺がんは少なく、特に猫では非常にまれとされています。

     

    と言っても、実は肺に腫瘍ができること自体はたまにあるのです。それは、「他の腫瘍が肺に転移した」ような場合ですね。

    こういうような状況では、すでに肺に限らず体中どこに転移していてもおかしくないので、基本的に手術で治すということはしません。抗がん剤が効く種類の腫瘍であれば戦うこともできますが、多くの場合はターミナルケアに移行します。

    (ターミナルケア:終末期医療。治癒の見込みの無い患者に対して、苦痛の緩和を目的とした処置を中心に組み立てる治療のこと。)

     

    一方、「肺がん」…つまり別の場所から転移してきた腫瘍ではなく、最初に肺にできたがんについては手術適応になる場合があります。このパターンが猫では非常に珍しいのですが、今回そんな珍しい猫ちゃんがいたので紹介しようと思います。

     

    アメリカンショートヘアの「れん君」です。

     

    れん君、なんとまだ5歳なのです。人間でいえば30代半ばくらい。私とそう変わりませんが、まさか肺がんだとは…。ちょっと恐ろしいですね。

     

    れん君が最初に来院したのは去年の12月でした。

    咳が出る、ということだったのでレントゲンを撮ったのですが、この時点ではそれほど大きな異常は見られませんでした。

    猫が咳を出すのはそもそも珍しいのですが、気管支炎だとか喘息だとか、無いわけではないです。なのでひとまず抗生物質で反応を見ることにしました。

    するとすんなり咳は止まり、何かしら感染性の気管支炎だったのではということで一旦は治療終了としました。

     

     

    しかし今年の7月。

    再び咳が出始め、少し息も荒いということでまた来院されました。

    とりあえずまたお薬かなぁ、なんて思いながら聴診器を当ててみると、なんだか変です。

    呼吸音が聞こえない??どう見ても呼吸はしてるけど…聴診器、壊れたかな?

    …いや、右側からはちゃんと聞こえる…。これ、左の肺が動いてないのでは…?

     

    正直、れん君はかなり怒りんぼなので、できればレントゲンは撮りたくなかったんですけども。笑

    これはどう考えても普通ではなさそうです。撮ってみることにしました。

    すると…

    左肺の後ろの方に、なにやらでっかい白い塊があるではないですか!

    なんじゃこりゃ!と思わず声が出ましたが、落ち着いて自問します。なんだ、こりゃあ??

     

     

    まず思いつくのは横隔膜ヘルニア。胸と腹を隔てている横隔膜が裂けるなどして、お腹の中の臓器(胃とか肝臓とか)が胸にはみ出る病気です。

     

    あるいは、肺葉捻転か…?肺の一部がねじれてしまう病気です。それにより空気も出入りしなくなるし、血流が滞って壊死してしまいます。

     

    年齢が年齢だし、まさか腫瘍ってことはあるまい…たぶん。(そのまさかなんだよなぁ…。)

     

    そんなことを考えながら、今度はエコーを当ててみることにしました。胃や肝臓なら一目瞭然、そうでなければ針を刺して細胞を見てみる必要があります。

     

    すると、何やら液が溜まっているように見えます。胃とか肝臓ではないですね。

    注射器で抜いてみましょう。

    …おしるこのような液体が抜けてきました。全部でなんと100ml近くあります!

    よーし、これを顕微鏡で見れば、この謎の物体の正体が…!!

     

    …わかりませんでした!

     

    壊死した細胞のカスばかりで、もともと何だったのかさっぱりわかりません。

    どうやら感染症ということでもなさそうです。

     

     

    ひとまず溜まっている液を抜くと呼吸は楽になるようなので、しばらくは数週間おきに液を抜くことにしました。

    この時点では肺葉捻転を疑っていました。液を抜いて時間を稼げば、壊死組織はそのうち吸収されてなくなっていくのではないかと期待したのです。

    ですが次第に、抜ける液の量は少なく、また抜いた後に残る影の大きさは大きくなってきて、ゆっくりですが悪化傾向にあると判断しました。

     

    そうなるともう切除するしかありません

    開胸手術は、いつもやっているお腹の手術とは全く違います。肋骨の間を切って押し広げた、その隙間から手術をしないといけません。非常に視界が悪いし、臓器の操作も難しい。

    加えて胸を開くと、手術中は自力で呼吸することができなくなります。人工呼吸を行う麻酔師もまったく気が抜けません。

     

    これは危険な手術になりそうだということで、高度医療センターや大学病院の受診も提案しましたが、なかなかそれは難しいとのこと。

     

    そうですか…ならば仕方ない!気合入れて挑むのみです!

     

    てなわけで、いざ勝負!!(手術の写真が出ます。苦手な方はご注意を!)

     

     

    肋骨を開いてみたらば、もう何かありますね。指さしてる丸いやつが今回の相手です。でかい…。

     

    何とか押しのけて奥の様子を探っていくと、気管支らしきものがつながっています。

    もはや機能は失っているでしょうが、コレはやはりもともと肺だったようですね。

    肺は一つの大きな臓器ではなく、いくつかに枝分かれしています。どうやら左肺後葉という領域が侵されているようです。

     

    気管支を糸で縛って、何とか外に出せました!

    この記事を書きながら改めて写真を見ると、ホントにデカい…よく取り出せたものです。

    10cmはあろうかという肉の塊です。本来肺は空気を含むスポンジのような臓器で、体外に出すと小さくしぼんでしまうのですが、これは全くしぼまない肉塊でした。

    検査センターに送り、病理診断を待つこと10日ほど。

    返ってきた結果は「上皮性悪性腫瘍」…つまり「癌」でした。

     

     

    れん君よく頑張った~!!

    術後の気胸が少し長引きましたが、この後ぐんぐん元気を取り戻し、ガツガツごはんを食べ、シャーシャー怒りながら帰っていきました。笑

    今では家じゅうを走り回っているそうです。

     

     

     

     

    てなわけで、手術は我々のちょっとの頑張りと幸運、そしてれん君の根性によって成功しましたが、肺がんであることが確定した以上、今後もあまり楽観視はできません。

     

    猫の肺がんはそもそも珍しいため、あまりデータが多くないのですが、基本的に長い余命は期待できないようです…。だいたい数カ月とか、長い子で1~2年とか。

    病理診断をしてくれた病理医の先生にもお話を聞いてみたのですが、すべて取り切れているように見えるが、それでも転移・再発の可能性は高い疾患であるとのことでした。

     

    この若さでそんな病気になってしまったのが非常に残念だし、不可解ではありますが、やれることはやったし、れん君もそれに応えてくれました。

    あとはれん君の根性を信じて、元気に暮らしていくことを願うばかりです!

     

    そもそも珍しい病気で、本来ならお年寄りに発生する病気で、見つけたとしても手術に踏み切れないことも多いであろう猫の肺がん。

    れん君は非常に異例づくめの症例でした。

    データもひっくり返してびっくりするくらい長生きする…そんな奇跡ももしかしたら見せてくれるかもしれませんね…!

     

    頑張れ!れん君!!

  • 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)のお話 ~キャンプとか行きたいけどちょっと怖い~

    20.10.14(水)

    本文は↓をクリック

    (さらに…)

  • 雨と狂犬病と買い物袋のお話 ~主に単なるお知らせ~

    20.07.13(月)

    本文は↓をクリック

    (さらに…)

  • 先月に続き新型コロナのお話 ~猫飼いさんはぜひ読んで!~

    20.05.16(土)

    本文は↓をクリック

    (さらに…)

  • 新型コロナウイルスに対する当院の対応と、動物への影響について(2020.4.25追加情報含む)

    20.04.03(金)

    本文は↓をクリック

    (さらに…)

  • メリークリスマス、マダニ。~こんな時期にどこから来やがった~

    19.12.27(金)

    本文は↓をクリック

    (さらに…)

  • 台風とともに現れたかわいいやつ! ~ヤモリを飼ってみるお話~

    19.11.05(火)

    本文は↓をクリック

    (さらに…)

  • クレジットカードと消費税のお話 ~時代の波はやりすごして、凪いだ海をついていく所存~

    19.10.01(火)

    本文は↓をクリック

    (さらに…)

  • 里親募集終了のお知らせ

    19.09.11(水)

    本文は↓をクリック。

    (さらに…)

  • 1 2 3