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フィラリアというか、蚊のお話 ~出来れば絶滅してほしい…なんて言ったら偉い人に怒られそう~
19.03.27(水)
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みなさんこんにちは。副院長の佐野です。
いよいよこの時期がやってきましたよ。
フィラリアの予防シーズンです。
今年は、もうすでに蚊がいるとか、実際に刺された、ということで早くから予防に来られる方がちらほらいらっしゃいます。
当院ではこれまで、4月末から11月末までの予防を推奨しておりましたが、温暖化の影響か、だんだんそれだと間に合わなくなってくるのかな…。
実際、沖縄なんかでは以前から、フィラリアは1年中予防するものとして定着しています。今後も年々気温が上がるようだと、浜松でもそういう必要が出てくるかもしれませんね。
さて。
フィラリアは、蚊によって媒介される心臓の寄生虫です。主な寄生先は犬のほか、タヌキやキツネなどイヌ科の動物と、最近は猫も話題ですね。
昨年のブログ記事。フィラリアの基本と猫での症状など。
あと、動物園とかだとアライグマとかレッサーパンダ、意外なところではアザラシやアシカなどもかかるそうです。
ああいう、手足がヒレ状になっている動物は鰭脚類(ききゃくるい)と言いますが、「イヌ亜科」に分類される、わりと犬に近い動物なのです。
心臓に寄生し、咳や呼吸困難を起こし、ひどいと突然死を起こす怖い寄生虫、だけどかなり効果的に予防することができるので皆さん予防しましょうね…というのがざっくりとしたフィラリアのお話ですが、今日はフィラリアの話はそこそこに、蚊のお話をしたいと思います。
皆さん、世界で一番「人間を殺している動物」ってなんだと思いますか?
えぇまぁ、蚊なんですけどね。前フリが長すぎましたね。笑
「最もたくさんの人間を殺す動物ランキングトップ15」
https://www.huffingtonpost.jp/2017/11/11/don_a_23273992/
見たことある人もいますかね。なかなか面白いなぁと思いながらも、私は正直、蚊に殺されるっていうか、マラリアにかかって死ぬんだから、「マラリア原虫」とかの方が適切じゃないの??なんて思っちゃうんですがそれじゃつまんないので、蚊で良しとしましょう。笑
とにかく、マラリアに限らず、「蚊が媒介する感染症」というのはそれはもうたくさんあって(ウエストナイル熱とか黄熱病とかデング熱とか…)、世界的に見るとそれで亡くなっている方がめちゃくちゃ多いわけですね。
フィラリアもそういう病気の一つに過ぎません。
そんな、あらゆる動物に病気を運ぶ、蚊。
ちょびっと血を吸うだけならまだしも、なぜか痒みを残して去っていく、蚊。
タイトルにも書きましたが、気持ちとしては絶滅してほしいくらいですが…。
ただ、ちっぽけな羽虫でもいなくなると崩れるのが生態系というもの。ボウフラは小魚の餌になっているはずだし、血を吸わないオスの蚊は、花の蜜を吸うので受粉の媒介に一役買っているはずです。
もし可能だとしても、はたして絶滅させてよいものかどうか…きっと誰にもわかりません。
ところで、フィラリアの予防時期が長くなりそうというお話から始まりましたが、実際のところ奴らはいつ頃から現れるのでしょう?
だいたい最低気温が15℃を越えるくらいから増えてくるらしいのですが、天気予報の気温は果たしてアテになるのか…?というのは前々から疑問だったのです。
日当たり、風通し、標高などによってかなり違うはずなので、絶対探せば今の浜松でもどっかに蚊はいるはず…!
ということで、四つ池公園に散歩に行きました。笑
(2019年3月17日)
猫がいました。かわいい。
もう一匹いました。めっちゃガンつけてくる。かわいい。
さぁ、かわいい猫ちゃんとの別れを惜しみ進んでいくと、いましたよ~、目的のヤツが!
歩道の横の小さな側溝、落ち葉や泥でせき止められて水が流れなくなったところに!
…見えませんね…。
持ってたビンでそっとすくって帰ってきました。
ボウフラです。
左が幼虫の「ボウフラ」、右の丸っこいのはサナギの「オニボウフラ」と呼ぶらしいです。
ということは、もうあと2,3日もすれば成虫になるところだったんですね。
私はボウフラで蚊の種類がわかるようなマニアックな知識はないので、これが「吸血する種類の蚊」かどうかはわかりませんが、少なくとも、場所によってはすでに蚊の仲間が繁殖できる気温だということでしょう。
まだ朝の最低気温は10℃にも届かないような状況ですので、あまり天気予報の気温はアテにできないかもしれませんね…。
今年も当院のフィラリア予防は「4月30日から11月30日まで」を基本にやっていく予定ですが、すでに蚊を見た!という方は、たぶんそれ見間違いではないので、今月末や4月頭頃からの投与をおすすめします。
早めに予防を始めたいという方は診察の際にその旨をお伝えくださいね。
あ、あと、狂犬病のはがきも届き始めているようなのでそちらも忘れずに!
フィラリア予防と同時にできますからね~。